ケモノ道を切り拓く

ディジー・ガレスピー!? 何でよりによって? 高校生がマンテカ???

去年 京都橘にハマってから遅ればせながら2012年のバンドフェストの動画を初めて観た時は唖然とした。 ディジー・ガレスピーのファンではなかったけど、彼の曲で唯一知っていたのがマンテカだった。 他の余計な知識といえばあのはち切れんばかりの頬っぺたの写真のみ。 高校生のレパートリーとしてこんなアバンギャルドなジャズを選択する事に度肝を抜かれたし、こりゃいくらなんでもバンドフェスト向けに意気込み過ぎての勇み足だったのでは?と思っていた。 ところが後になって橘のマーチング・ヒストリー①という動画でかなり昔からこの曲を演奏し続けていた事を知って更に驚いた。 彼女達のユニーク過ぎる演奏スタイルばかりに気を取られて、その懐の深さを見くびっていたのだ。 片っ端から動画をチェックしてみると、まぁ出るわ出るわ(笑)。 スウィングは勿論、サンバやマンボのラテン系、’60年代のソウル・R&B系、ディズニー・ナンバーもかなりマニアックなレベルで網羅しているし、油断していると’60~’80年代のポップスまでねじ込んで来る。 一体どんだけ貪欲に曲を吸収し続けてるんですか、橘さん。 普段パレードで耳にする曲に限定・集中して繰り返し練習しているイメージで捉えがちだけど、どうも他にも座奏で陰に隠れてコソコソと悪さしてるらしいし(笑)。 考えてみればいつも見慣れているパレード曲って、次々に目まぐるしく繰り出して来るけど暗譜してる曲だけでアレなんですよね…。 その上に座奏の練習曲が加わるとなると、そのレパートリーの深さ・広さの両方に戦慄するばかりです。 シング・シング・シングは勿論、パレードのオープニング曲のダウン・バイ・ザ・リバーサイド、京都橘のテーマ曲のウィンター・ゲームス、やはりパレードに欠かせないディズニー・メドレー等々 どれももう看板曲と言えそうな曲だらけですけど、最近少し出番が減っている恋のカーニバルもずっと続けて欲しいなー。 全然知らない曲だったけど、京都橘のイメージに凄く合ってる気がして今や大のお気に入りになりました。 ディズニー・メドレーの中のハワイアン・ローラー・コースター・ライドも続けて欲しい曲の1つです。 動画チェックしてる内にリロ&スティッチにハマりました❤  

 

今年のローズ・パレードに対する海外の反応を見ても、やはり京都橘のユニークな演奏スタイルを称賛するものばかり。 実はぢぢいが期待してんのは『わが国の〇〇校もこんなに個性的なマーチングをやってます』みたいな反応なんだけど、無いですねー、さっぱり。 アメリカ人で『うちの学校も似たような事やってるよ。』って言う方も1人いたものの、何処の学校とは書いてないし話題になってる気配もないしで、恐らく『似たような』の捉え方がちょっと違うのか 負けず嫌いで言ってみました的な方なのでは…。 ともあれ、別な所でも書いたと思いますが少なくともアメリカでは軍楽隊の残像や影響が強過ぎて、今後もエンタメ的な要素の強いバンドは生まれて来ないような気がします。 京都橘があれ程熱烈に受け入れられたのも、自国からは決して登場し得ないスタイルだからこそなのではないでしょうか。 日本国内に目を向けてみると、京都橘が余りにも孤高の存在すぎるのか【 個性的なバンドを志向する】イコール【とりあえず京都橘のスタイルを踏襲してみる】みたいな安易な流れになりがちという気がします。 踏み出しのきっかけとして悪い事とは思わないけれど、そのままそのポジションに落ち着いてしまったら中途半端なB級バンド確定じゃないですか? 出雲商業や大西学園のように京都橘からの影響をあっけらかんと表に出しちゃってるバンド は正直言って嫌いじゃないんですが(笑)、自分達の現在地があくまでも発展途上の仮舗装路上である事や 京都橘が道の無いジャングルに自らケモノ道を刻んで生き残って来た野獣である事(笑)などは、決して忘れるべきではないと思います。 京都橘の何よりも凄い点は その一貫した姿勢です。 メインストリームに迎合する事なく独自の理想を見据え続けるのは簡単な事じゃありません。 今でこそ安定した人気や評価が定着しているものの、 余りにも個性的なスタイルだっただけに揶揄される事も多かったと思います。 諦めずに継続する事で苦境を乗り越えて来た京都橘。 そんな彼女達が導き出した解答の【上澄み】だけを味見して真似てみても、恐らく人を感動させる事は出来ないでしょう。

エンターテイメント性重視という点では、2年前にローズ・パレードに出場した東邦高校のパフォーマンスも日本らしくて面白いと思いました。 キャラクターとしては橘の陽に対して東邦は陰みたいな雰囲気ですが、橘の亜流にはしないという意地が見え隠れしていて 好感が持てました。 ただ、バンドフェストでの彼らは正直言って●●でしたが。    4~5年前のナゴヤ・マーチングなんちゃらの動画でも相当酷い事になっていて、せっかくの演奏をぶち壊すほど観客をドン引きさせていたので、こういう自己満足なだけのおまけ演技は根本的に練り直した方がいいような気がします。 演奏そのものやマーチング・パフォーマンスは良いのに残念過ぎる…。